きみ、ふわり。



 最後はバイトを休んで休日に会った。
 俺、土日は全部バイト入っていたから、最後ぐらいゆっくり過ごしたいと思った。


 デートらしいデートをしたことなかったから、それらしい所へ行きたかったけど、紗恵がいつも学校帰りに寄る河川敷の公園へ行きたいと言ったからそこへ。

 丸一日は無理だということで、午後から。
 やっぱり紗恵は、身体が弱いらしい。



 堤防の芝の生えた斜面に二人並んで座って、遊具で遊ぶ子どもたちを眺めていた。

 見上げれば、澄んだ水色の中を、真っ白で綿菓子みたいな雲がゆったりと漂うように流れていく。
 絵に描いたような典型的な快晴空だというのに、俺の心はどんより曇っていた。


 ふと、視界の右端に茶色い物が映り込み、そちらへ視線をやれば、ダンボール箱を崩して四角く千切ったものが、所在なくポツンと転がっていた。