中途半端に一緒に居て、中途半端に身体を重ねた。
お互いの気持ちは中途半端では決してなかったけれど、『付き合う』という形を俺たちは敢えて避けたから、二人を結びつけるもの、縛り付けるものが何もない、結局は中途半端だ。
気ままに気の向くままに、くっついたり離れたり自由自在。
そして今正に、紗恵は俺から離れていこうとしている。
「俺、遠距離でもいいよ?
絶対浮気はしない、誓ってもいい」
その場の思いつきで口にした提案は、酷く安っぽくて軽く聞こえた。
けどそれは、嘘偽りなどない本心だった。
紗恵が首を小さく左右に振る。
サワサワと、しなやかな髪が俺の腕をくすぐった。
「信用できねぇよなぁ。
だって、俺だもんな」
自嘲的な笑みが零れた。
紗恵が今までの俺を知っているとしたら、『浮気はしないから信じろ』など無茶な要求だ。



