きみ、ふわり。



 その額にチョンとキスを落とした。


「先輩と一緒にいるのに寝ちゃったら勿体ないです」

 言って紗恵は、照れ臭いのか再び俺の胸に顔を埋めてしまった。


「別に……これからもずっと一緒にいられるんだし。
 こんなの、長い人生の中のほんの一瞬じゃん」


 紗恵は何も答えなかった。

 俺、何か気に障ることでも言ったかな? などと思いつつも、紗恵の艶やかな黒髪を指に絡めてすくったりして、そんな不安を紛らわせた。


 ふと、布団からほんの少しだけはみ出した紗恵の肩に視線が行く。
 その肌の白さにゾッとし、冷たいものが背筋を駆け抜けた。

 それは透き通るほどで、今にも消えてしまいそうで。


 その儚さに、怖くなった。