きみ、ふわり。



 調子に乗ってくだらない事ばかり言っている俺だけど、いつだって紗恵からは愉しげな笑顔が返って来る。
 それに癒されて、味を占めて、またバカなことを言ったり、やったり。


 何でもないやり取りをこんなにも幸せに感じるのは、隣に紗恵が居るからだ。


 死んでも紗恵だけは手放したくない。

 激情家でもロマンチストでもない俺が、本気でそんなことを考えたりした。



 紗恵を父親の寝室に再び連れ込んだ。


 女は琉佳を保育園に迎えに行ったまま、まだ帰って来ていなかった。

 念のため『あと2時間は帰って来るな』とメールを入れておいた。
 すぐに『らじゃー(^_-)-☆』という返信があり、ウィンクしている顔文字にイラッとした。

 けれど、そこは快諾してくれたことに感謝すべきだろ、と自分自身に言い聞かせた。