唇を堪能した後、首筋にキスを落とせば紗恵の口から艶めいた吐息がこぼれる。
それは俺の脳内を激しく揺さぶるほどの色香があり、そろそろかな、などとぼんやり思う。
モゾリ――
紗恵が自分の内腿を擦り合わせるのを俺の下半身がめざとく察知、紗恵の方も限界が来ていると勝手に思い込んで心が浮き立った。
もちろん相合傘で帰る。
お互い自分の傘をさして、なんて遠過ぎるし会話すら成立しないから絶対に嫌だ、有り得ない。
「先輩、肩濡れてます」
紗恵が申し訳なさそうに隣の俺を見上げて言うから、「これ、愛という名の優しさ」などと面白くもない戯れ言をほざいて笑った。



