君が好きにならなくても




この学校で私を名前で呼ぶ人なんで、あの人しかいない。



「えぇ―と……直人?」



私は後ろを振り向いた。そこには笑顔の直人がいた。




「なんだよ、その顔は」


「いや、別に…。ただ、ちょっとびっくりしただけ……」



直人は当然のように私の右側に並んで一緒に歩いた。