君が好きにならなくても




わざわざ、落とし物を拾って自分で返すだろうか?別に先生にでも頼めばいいことだし。



私はキャラメルブラウンの横顔をそっと見つめた。




「………なんだよ?」



私の視線に気づいたのかこっちを見たキャラメルブラウン。



「ううん。別に。ただ、あんたいい人かもなぁって思っただけ。名前は?」



こんなに他人に話したかけたことなんてない、名前だって自分から聞いたことない私が、彼には自分から名前を聞いてることに自分でもびっくりした。




「小嶋直人。おまえは、佐倉百合子だろ?」