「もう授業始まってますけど?こんなとこでさぼりですか?」
突然声をかけられ、驚いて振り向くと、そこには、
「風邪ひくぞ」
そう言って、身震いをしてる野球部キャプテンで、一年の時から同じクラスの桜井くんが立っていた。
「あっ……うん」
「早く授業に出てもらわないと、先生に当てられそうになった時、ノート見せてもらう人が居なくて困るんですけど」
本気とも冗談ともとれる発言に、あまり話をしたことがなく真面目なイメージがあった彼に、こんなことも言うんだって思ったら、何故か可笑しくて、先ほどまで彼と彼女のことで頭の中いっぱいだったのに、
「ふふふっ」
可笑しくて笑いが零れた。
「その方がいいよ」
「え?」
「笑ってる方がいい、と思う」
もしかして、ここのところ落ち込んでいたの、バレてたのかな?
自分では気を付けて、気合い入れて無理にでも笑おうとしてたのに。
分かりやすかったかな?


