彼女に誘われるまま着いた屋上は、ひゅぅっと、冷たい風が吹いていて、思わず 「寒っ」 と、声が出た。 天候のいい時期は、ここはひなたぼっこしたり、お弁当を広げたり、生徒が集まる場所だけど、今日は、木枯らしも吹いていて寒いせいか、誰もいなかった。 「久保田先輩」 「ん?」 いつもみたいに元気な声ではなく、少しだけ静かなトーンで私を呼ぶ彼女に、一体どんな話なのかと構えてしまう。 そんな私に、彼女は、 「先輩は、加藤先輩のこと、好きですか?」 と、ストレートでものを言ってきた。