ファンファーレに想いを乗せて






「穴場」



彼の自転車の後ろの荷台に乗せてもらい、やって来たのは、あまり人がいない河川敷。


花火の打ち上げ場所からは随分と離れているから人が殆んど居ないけれど、周りに障害物がないのでよく見えるらしい。




「去年の夏にさ、練習帰りに見つけたんだ」

誰にも言うなよ?穴場なんだから。


そう言って楽しそうに笑う彼につられて、自然と笑みがこぼれる。



「あっ、上がった」

そう言って遠くを見つめる彼につられて視線を向けると、


“パーンッ…… パーンッ……”

と、夜空に大輪の花がいくつも咲き始めた。



「綺麗〜」

そう呟けば


「だろ?」

なんて得意気な顔で言う彼が可笑しくて笑ってしまう。


「加藤が作ったんじゃないでしょ」

「ばれた?」


くくくっと独特の笑い方も、こうやって二人で笑い合うことも久しぶりなのに、自然にいられるのは、彼の持つ雰囲気のせいなのか。


あの頃一緒にいることが自然だった空気が、今、ここにある。