目の前の彼なら…
ずっと見守ってくれていたこの人なら、穏やかな気持ちでいられるって分かる。
だけど、
「ごめん……」
やっぱり、好きな人はただ一人
振られても、まだすごく好きで、心に深くいるのは彼の姿だけ。
「うん、分かってた」
そう言って笑顔を見せる彼からは、先ほどの真剣な姿は見えず、あの告白は冗談だったのではないかと思ってしまうほど。
「つか、それ聞いて安心した」
彼のよく分からない言葉に、何?って聞き直そうとした時、
「おいっ!隠れてないで早く出てこい!
じゃないと、本気で久保田貰ってくぞ!」
桜井くんが野球部の部室の方を見ながら大きな声で呼びかけたら、部室の影から出てきたのは、
大好きな、人
加藤大樹が、そこにいた。


