茜色の空をふと眺めたら、空が高いことに気付いた。
まだまだ暑いけれど、季節は秋を迎え入れる準備をしている。
こうやって季節は巡っている。
確実に時間は動いている。彼への気持ちも、いつか思い出となるんだろうか。
「どうした?」
ぼんやりと立ち止まった私に気付いて、桜井くんが声をかけた。
「ううん。夕焼け空だなぁって思って見てただけ」
そう言うと、彼も空を見上げ、
「もう夏も終わりだな」
と呟いた。
夏が終わる。
彼が夢見た夏も終わりを告げる。
「桜井くん」
「ん?」
「私さ、ちゃんとけじめつけてきたよ」
彼には言っておこうと思った。
あなたが背中を押してくれなかったら、私は今でも何もしていないはずだったから。


