「お前のこと、好きだったよ」
寂しげに見せる笑顔は、気にするなとでも言いたげで、それが、彼の不器用だけど優しさの表れでもあると分かる。
桜井くんなら
彼と一緒なら、こんなに辛く苦しい想いなんてせずに、穏やかに二人並んで過ごせるだろう。
だけど、
「私は……」
それでも
「加藤が、好き」
彼じゃないと駄目なの。
どんなに苦しくても、どんなに泣いても
それでも、あんなに誰かを好きになったのも、
あんなに情けないくらい臆病になったり
彼の一言で一喜一憂するのも、
全部、彼が初めてだったから。
この想いだけは、どうしようもないんだ。


