ガクッ! 何かを踏み外し、倒れると思った瞬間、ぐいっと手首を引っ張られ、 「あっぶないな、ったく」 倒れそうになっていた体を支えてくれたのは、 「っ……桜井、くん」 「ちゃんと前向いて走れ」 桜井くんだった。 「どうした?」 知らぬ間に出ていた涙でぐしゃぐしゃの顔を見た彼は、心配そうな声を出した。 「なんでも、ない」 なんでもない なんてことない 二人は付き合ってるんだから、あんなことも当たり前のこと。 分かってるのに、やっぱり、見たくなんてなかったよ。