夕方の五時を知らせるチャイムが鳴り、そろそろ音楽室に戻ろうと広げていた楽譜をまとめていた時、ガヤガヤと賑やかな声と足音がグラウンドの方から聞こえてきた。
ふと声のする方へ顔をやると、野球部員たちが休憩中なのか、練習が終わったのか、中庭の渡り廊下にある洗面所に顔を洗いに来ていた。
「あずさ、行くよ」
菜々の声に、止まっていた手を動かし、
「先、行ってて」
と慌てて楽譜をまとめ立ち上がれば、上手くまとめれていなかったのか、その中の一枚が、風に乗ってヒラヒラと宙に舞った。
「あっ!」
追いかけて、それを広い上げた目に飛び込んできたのは、
「先輩〜。これ、使ってくださいよ」
そう言って加藤の背中を追いかける彼女の姿だった。


