黒崎君とメアドを交換して、お互い教室に戻った。
さっきまでは幸せ一杯の気持ちだったのにこの教室のドアの所でそんな気持ちは一気に消し飛んだ。
ため息をついた私はドアを開けるのにためらってしまう。
「おい、大丈夫か?」
体を強張らせ、大声で叫びそうになったのを何とか抑えた。
「くろ・・・!黒崎君・・・な、何?」
「大丈夫かって聞いてんだけど?」
「う、うん。大丈夫だよ。心配しないで」
顔が青くなっているに違いない。だけど黒崎君には迷惑はかけられない。これは自分で解決するしかないのだ。
「ほんとか?」
「本当だよ。だから黒崎君は自分の教室に戻って?」
「あ、ああ・・・」
納得がいかないって顔をする黒崎君だけど私は苦笑し、黒崎君の背中を押した。
「ほらほら。戻って!」
「分かった。だけど何かあったらメールでもいいから俺に相談しろよ?」
「うん・・・ありがとう」
その言葉はすごくありがたいだけど・・・頼ってはいけない、甘えちゃいけない。
(自分で解決しなきゃね・・・)
黒崎君が教室に入ったのを確認する。
(よし、私も入るとするか・・・)
気は乗らない。だけど、前に進まなきゃ何も始まらない。
授業にだって出なければいけない。
勇気を振り絞って、ドアに手をかけ教室に入った。
さっきまで廊下まで声が響いて騒がしかったのに途端に静かになる。
私が入ってきたからだ・・・。
周りの視線が痛い。私が授業をサボったからだ。
皆から罵倒されるが、何も感じなければいい。心を殺せばいい。
そうやりながら自分の席までいき、2限目の準備をする。
(あ、教科書・・・それにノートまで・・・)
机から取り出した教科書とノートは見るも無残なことになってた。
(これ、器物破損罪になるわよね・・・訴えれば)
一応、後で写真をとっておいて、弁護士と教育委員会にでも、と考えついた私は冷静にことを考えた。


