10年…。
今の環境ではとても彼女を作ってもかまってあげる事は出来ないだろう。
樹希だって、まだ小さいし…バイトだって忙しい。
(知砂の言うとおりだ。それらを考慮に入れてあと10年は出来ないかもしれないか…)
泣けてきそうにはなるが、環境が環境だから仕方がない。
「それはどうかなー。陽君ならいつの間にかつくっちゃいそうですよ?案外そんな相手近くにいたりして」
後ろから砕けたような物言いが聞こえてきて、俺は振り返ると第3の悪友…親友の水野 了(ミズノ リョウ)がいた。
こいつは尚弥と同様、高校からの付き合いで家族の事については話していない。そして了は何故かモテる。
家族について知っているのは昌太と知砂だけになる。
後は担任くらいなもんだ。校長もいたな。
了が言った言葉に俺はあの子のことを思い浮かべてしまった。
(ないだろ…さっきのは取り消し。取り消し。あの子は友達なんだ。それに今日あったばかりだし…知り合って1日も経ってない)
「…ないと思う」
「「「「だろうね、陽だし」」」」
言ってみただけだよと了は言う。
もう少し、否定してくれたっていいだろうに…尚弥たちはきっぱりと清々しく肯定してくれた。
これが俺の日常。
ムード―メイカーな尚弥。冷静沈着かつクールな昌太。俺たちの中で唯一紅一点でお姉さん的な存在の知砂。天才肌かつモテ男の了。
俺はいつもこのメンバーたちとつるんでいる。
そして、今日も朝からこんなバカ騒ぎを起こしながら他愛もない話を先生が来るまで話した。


