「お、我が校1の美少年・黒崎 陽君が何やらニヤついてますなー。これは何かいいことがあったのでしょうか?解説の田倉君お願いします」
「んーこれはきっと何かいいことがあったのでしょう」
「お前らなー」
同じクラスで、尚弥と同じく親友の田倉 昌太(タクラ ショウタ) は冷静沈着に俺を分析する。
俺は尚弥にどつく。
昌太は中学の時からの友達で俺の事をよく知っている。
もちろん、俺に親がいなくて陟さんにお世話になっていること。樹希と一緒に暮らしていることなど。
「たとえば、彼女が出来たとか?」
「昌っ、お、お前っ…」
「その戸惑いは図星か!?」
真顔で昌太は言い放った言葉に驚いた顔する尚弥。
そして、何故かそれを周りは聞き耳を立て騒ぎ出す。
(お前ら…どこの中学生なんだ…)
男子たちはひゅーひゅーと冷やかし、女子たちはイヤーと叫び、中には泣いてるやつもいた。
何なんだよ。俺が一体何かしたのか?
そして、この空気は何なんだろう。
「あーもー、絶対にそれは違うから!!彼女なんか出来てないから!」
「じゃあ、さっきの微笑みはなんなんだよ?」
「そ、それは…えっと…あ、そうだよ!今朝ランニングで子猫にあってとても可愛かったなーって思いだしただけなんだよ」
「はあ?なんだよ、それ。どこのほのぼの少年なんだよ!」
昌太は不服そうな尚弥に諭した。
「尚弥、仕方ないんだよ。陽はこういうやつさ」
「それもそうか。陽だもんな」
「そういうことだ」
納得した尚弥に俺は複雑な気持ちを抱いた。
なんであれで納得されるのが納得いかない俺であった。


