「俺も久しぶりだよ。だから、すっげー楽しい」
「もし…あなたが良ければ…こうしてまた、話したい。…だ、だめ?」
彼女は顔を見上げて、眉が少し下がっていて、頬も若干恥ずかしがってるのか紅く、ためらいながらも訊いてきた。
俺はズッキューンとまるで心臓が矢で射抜かれたような感覚になった。
(何なんだよ…俺、やっぱ病院に行った方がいいのかな…)
そんな思考を巡らせる俺に彼女は不安がりながら俺の返答を待っていた。
もちろん俺の答えは決まっていた。
「当たり前だろ!もちろんいいに決まってる」
「ほんと?」
「ああ」
キラキラとした笑顔を俺に向け、俺の両手を握った。
「よろしくね」
「こちらこそ」
「あ、そろそろ帰らなきゃ…」
「もうそんな時間かー」
「…また会えるよね?」
「会えよ。だって、俺たちはもう友達なんだから」
「うん!」
彼女は笑って、手を振って帰って行った。
俺も笑いながら見送り、家に帰った。
家に着いたのが午前7時―――。
(うわあ、あそこで俺ら結構長いこと話してたんだなー。でも、楽しかったし何よりも友達になれたんだからいっか。)
そして、俺はふと何か忘れているような気がした。
それは何だったのかと悩んでいるうちに樹希が起きてきた。


