「あんた、音楽とか聞く?」
―――――そして、今に至る。
「音楽はかなり好きだし、結構聴くんだ」
「私も同じ。好きなジャンルとかある?」
「色々聞くよ。好き嫌いなしでね。J-POPが多いかも。洋楽とかも聴くけど」
「洋楽も私は結構聴くけど、当たり外れがねー」
彼女は苦笑し、眉を少し下げる。
「確かに…それは言えてるかもな」
やっぱり、彼女の声が今まで聞いた声の中で一番綺麗で好きだと思った。
何故だか、彼女の声に癒される自分がいて安心できた。
この会話が楽しいとも思った。
「どうしたの?」
まっすぐ俺の目を見ながら彼女は俺の顔色を覗って、少し心配した様子だった。
「…楽しいなあって思って」
「わ、私も楽しいって思った。こんな会話したのは久しぶり…」
笑って、彼女の頬が紅く染まった。
心なしかまた胸が熱くなった。
心臓の鼓動が大きくなり、脈も速くなっているのは何かの病気だろうか。
(どうしたんだ…?俺。病気か?)
病院に行くにしても、その分バイトの時間が減ってしまうし、行く時間なんてない。
そのうち、治るだろう。寝てれば…たぶん。


