朝、起きて学校に行く準備をし、
ランニングをすませ、学生服を着て
リビングへ向かい、
母さんが、朝食の支度を台所でしていて
親父はリビングで新聞を読みながらコーヒーを飲んでたっけな。
樹希は今とそんなに変わらないけど、それでも母さんに甘えてたかな・・・。
普通のサラリーマンをしていた父親に専業主婦の母親ほんと、ごく普通の平凡な家庭だった。
それでも、俺にとっては本当に幸せだったんだ。
家族皆が笑っていればそれで良かった。
だけど・・・それは今となってはもう過ぎ去ってしまったことなんだ。
現実はそんなに甘くなくて、苦いものなのだと。厳しいものなのだと。
幸せは突然に不幸になるんだ。
ある日、家に1通の不幸の知らせがきた。突然の交通事故。
大切だった家族が―――両親が亡くなってしまうなんて誰もが思わなかった。
俺ですら思わなかったことなのに・・・。


