駅まで文東さんとたわいもない話をして別れた。
「じゃあ、またねー」
「はい。お疲れ様です」
俺が住んでいるマンションは駅から徒歩10分くらい歩いたところだ。
35階建て4LDKの最高級マンション…。
しかも、まだ5歳になったばかりの弟と二人暮らし。
幼いころに両親が交通事故に遭い、親族もいなく
なくなく途方に暮れていたら、陟さんに出会い拾われ
今の現状に至るってわけだ。
陟さんって本当に謎の人だと思う。
あの人何者!?っておそらく誰もが思うだろう。
でも、まあ、あの人のお陰で今生きてるんだから
何者であろうが陟さんには恩があり
それを返さなければならないってのも事実だ。


