「尚弥、お前だけじゃないのか?」 「ん、ああ」 なんか、嫌な予感が……。 当たらなければいいが。 「とりあえず、そこで待ってろ。すぐ帰るから」 「分かった。早くしろよー。じゃないと、あいつが……恐怖の鬼が……」 電話越しにガクガク、ぶるぶると震えている尚弥が容易に想像できた。 恐怖の鬼とはきっと、十三束 花那(トミツカ カナ)のことだろう。 尚弥のことだ、きっと何とかして十三束の輪を掻い潜ったのだろうがな。