「うんうん。さかやんが殆どの原因を作って、それを本人はいまだに気付いてないからね」
うんうんと頷く俺に文東さんは苦笑した。
文東さんは陟さんのことを【さかやん】と呼ぶ。
もちろんこれは誰にでも言えるわけない。
大物の文東さんだからこそ言えるのだ。
俺でも陟さんをさかやんと呼んだ日には殺されるかもしれないという恐怖があるのに文東さんだけは平然と呼んでいる。
それを陟さんは気にせずに黙っている。
「俺が【CROW】に入ったころから陟さんすでに鬼畜暴君でしたよ」
「だと思う。大体は想像つくよ。あ、前から聞いてみたかったんだけどさ、陽君ってなんでここで働いているのかなって…あ、別に深い意味じゃなくて、嫌だったら答えなくていいから!!ただ、陽君って謎が多いって皆言ってるから」
文東さんは慌てた様子でしょんぼりとした顔をした。
(コロコロと表情が変わるなーこの人)


