「かわいいーーー。つーかあったけぇー」
樹希を抱きしめる諸星さんに俺は目を見張った。
「あ~、陽、あんまりのことで驚いてるかもだけど、こいつ子供好きでさー特に可愛いものとか目がないんだよ」
こいつとは諸星さんのことである。
「そ、そうだったんですか」
以外だ。
「癒される~」
「あ、後でおれにも抱かせて?」
と文東さんは俺に許可を取る。
「あ、はい」
樹希が嫌でなければ。
樹希は今の所嫌そうではなさそうだ。
こいつは普段から無表情というか、顔にはめったに出さないし
嫌だとか何も言わないからな…
兄としては先行きが心配になってくる。
「というか、この子お前の子?」
「は?」
諸星さんは急に何を言い出すんだ!?
お前の子って何も…樹希は俺の弟なんだが…。
あ、もしかて…まさか、勘違いしてるのか?
「いや~知らなかったな…陽にこんな小さい子供がいたなんて、俺吃驚したわぁー」
「あ、いえ、それ…俺の弟なんですけど…」
「「へ?」」
「弟君だったのかー」
相変わらず順応性の高い文東さんだ。
「はい」
「そうだったのか。でも可愛いなぁ…これ欲しいな」
「おい!」
突拍子もない発言をする諸星さんにチョップを食らわす八嶋さん
えええー!?
「ちょ、それはダメですよ!!あげませんからね!」
たった1人の家族をあげるわけがない!
「どうしてもダメか?」
0円スマイルが如く、まさにイケメンスマイルで言ってくる。
「ダメに決まってるでしょ!」
俺は樹希を奪い返す。
「残念…」
しゅんとする諸星さんに可愛く思ってもこればかりは譲れなかった。
ったく、もー。
先行きがどんどんと俺は心配になってくる。
ぐぅきゅるると可愛い音がどこからか聞こえてきた。
俺の服を引っ張ってきた樹希は
「にちゃ…」
「あ、もしかして」
さっきの音は樹希の腹の虫か。
「お腹へった?」


