ものずごいスピードで走っている陽に何としてでも追いつこうとする三人だが――。
「陽のやつかなりはえーーー」
「何者だよ…陽の体力宇宙か!?」
「かなり早いねー。俺でも追いつけるかどうか」
これも若さゆえだろうか。陽より年上の文東たちはかなり息が上がっているにも関わらず、陽は息一つ乱さず、ひたすら帰り道である駅へと向かう。
「この先は駅だぜ…」
目的地であろうと分かった文東たちだった。
駅へと着いた陽は改札口へと通り電車を待つことにした。
その後に続く文東たちも息を整えながら陽のところへと向かう。
「はぁ…はぁ…やっと陽君に追いついた…」
「あ…あきら…速過ぎ…」
「まったくだね…」
まだ息が上がっているせいで言葉がたどたどしい。
「って…文東さんたち!?」
早く電車が来ないかなあと思っていると後ろの方からどこか聞いたことのある声がした。
それもそうださっきまで一緒にいたんだから。
驚く俺にまだ息が上がっている様子な文東さんたちだ。
「何しに?」
「なにしにじゃ…」
諸星さんの言葉を遮るかのように電車が来た。
「あ、きた」
俺はすぐに、電車に乗りその後を続くかのように文東さんたちも電車に乗った。
「文東さんたちはどこまでですか?」
「どこまでってお前なあ…」
「陽…よくマイペースだって言われない?」
マイペース?言われたことないな。
「いいえ?」
疑問形になってしまった。
「あはは。まぁ、陽君の後追ってついてきたんだけどねー」
「そうだったんですか」
文東さんとの会話は何故か気が抜けてどこか安心する。
多分、彼のまとう雰囲気がそうしているのだろう。
「で、陽君はどこに行くの?」
「そういえば、さっきタツキとか言ってなかったか?」
「えっとまぁ、それは…」
電車がどうやら家の最寄り駅に着いた。
「ここで降ります」
と言い、俺の後をついてくる文東さんたち。
まるでカルガモのような気分だ。


