さあ、俺と秘密をはじめよう





んーと背筋を伸ばし、

まだまだ肌寒い風に身を震わしながらも

何故か俺は心地良いとさえ感じてしまう。


「さてさて、どこにしようか?」

と聞いてくる文東さんに諸星さんたちは意見を出す。


「この近くだとファミレスかモックかマスかケンタかな」

「他はお好み焼き屋とか」

「ラーメンくいてー」

「もう店しまってるぞ」


「こらこら、二人共、陽君の意見もあるんじゃないのかな?陽君は何がいい?」


「え?俺ですか?」

うんうんと頷く三人。


「俺はどこでもいいですよ」

「えーそれじゃあ俺の意見で!」

あほかと諸星さんの頭にチョップを食らわす八嶋さん。


「どこでもって…どこか行きたい所ないの?」

「はい…というか…そもそも外食なんて何年もしたことがなくて、場所がどこにあるのかすら分からないです」


本当の話だが、俺は両親が死んで外食一切したことがなかった。


節約のためというのもあるんだが樹希の健康管理の為全て家庭内料理やら弁当を作ってる。


俺はまるでおかんだなと思ってしまうほどだ。


両親が生きている頃は何度か外食に連れて行って貰ったことがある。

それでも母さんが元々料理好きのため、殆ど外食はしなかった。



「お前…どんな生活してんだよ…つーかコンパとか合コンとか飲み会とかあるだろ?」

諸星さんは痛いところを突いてきた。

あぁ~、大学生にはあるんだな。

答え辛いな。

「行ったことないです…」

と正直に答えるしかなかった。


「「マジか!?」」

びっくりする諸星さんたちに俺は苦笑いするしかなかった。


「陽、今度、女紹介するよ」

八嶋さんの言葉にうんうんと頷く諸星さん。


女の子を紹介されても今の俺にはデートする暇なんかないと思う。

我ながら結構枯れてるなあ…。