陽、文東、イタクの三人はというと、仕事の邪魔にならない片隅で膝を抱え込んで据わっていた。
ちなみに右から文東、陽、イタクという順番だ
「も、も、妄想…妄想…あううう…」(ボンと破裂する音)
「目の前で…目の前で…見てしまった…」
「俺のキス…俺のキス…しかもべろちゅーまで…何気にかなり上手かった…」
とぶつぶつとそれぞれ呟いていた。
それはもう呪文かのような如く。
「うわぁ…なんかの罰ゲームかのような光景だったな…」
「ああ。あの三人今日は使いもんにならねーな」
「だよな…。だけどさ…今日は」
『そっとしておいてやろう』
そんな会話が飛び交う中、皆同意見であった。
バイト勤務終了―――時刻:22時半―――
「お疲れさん!」
「お疲れ様っすー」
「お疲れ様です」
皆、帰り支度をし、次々とスタッフルームを後にする。
「「お疲れー」」
「お疲れ様です、諸星さん、八嶋さん」
「おつかれー」
「お疲れ様です、文東さん」
文東さん、諸星さん、八嶋さんに挨拶する俺。
今日はすごいものを目の前で見てしまった…。
思い出したくもない。
そしてどっと疲れが…。
「今日は何かすごく疲れました…」
「「同じく」」
「だねー」
俺たちははあとため息を吐き、肩を落とす。
「俺、すごいものを見た気がします…」
「いや、見た気じゃなくて、見たんだよ。俺もだけど」
「あああーーー思いだしたくねーー」
「された張本人だからな…」
同情する八嶋さん。
1人何が起こったのか分からずにいる文東さんは悪気もなく聞いてくる。
「何があったの?」


