「な!?」
『………』
barの店内は一瞬にして静まり、
スタッフ一同何が起きたのかすら分からず、陽はその場でとんでもないものを見てしまったかのように唖然としフリーズする。
そして、今までパニックになっていたことも忘れ、何故パニックになっていたんだろう?と思ってしまうかのような出来事である。
また、一部の女性のお客様は「きゃーーーーー」と黄色声を上げた。
陽とタイチの目の前ではさらなる光景が行われていた。
茫然と何が行われているんだ?と訳の分かっていないイタクに陟はキスの角度を変え、
無理やり口を開かせて口内に舌を侵入させ、舌と舌を絡めあわせる。
キスを味わうような、しゃぶるかのような濃厚なる口づけを数分――息継ぎなしで行われた。
そして、唾液が糸を引き、唇を離して、
「分かったな!これがキスだ」
威張るかのように偉そうに言い放った。
また、イタクはフリーズした。
ただ、茫然とその場に立ちつくしていた。
「俺のキスは高いが今回は無料だ。しかもべろちゅーのおまけつきだ」
と、タバコに火をつけ、その場を言い残し支配人ルームへと去って行った。


