「じゃあ、文東さんで」
うん、と文東さんは笑った。
純粋かつ爽やかでその笑顔を見ている人は
温かく感じて、毒気を抜かれるんじゃないのかって言うくらいこの人の笑顔は好きだと感じてしまう。
たぶん、笑顔選手権に出たら、この人は優勝候補に入るだろう。
(犬みてー…。でも、なんだか和むな~)
正直、文東さんのこの笑顔と雰囲気には敵わない。
むしろ、毒気を抜かれる。
そして、何故か罪悪感がーーー。
(すみません。文東さん俺あなたに嘘ついてます。本当は俺、16歳なんです)
陟さんのせいで余計な罪悪感が…。
「ん?どうしたの?陽君」
はっ、いけねー。
「いえ、大丈夫です」
「ん。ならいいんだけど。早く着替えちゃわないとね」
「あ、はい」
俺たちはさっさと着替えて控室を後にした。


