「タイチ、発音いいな!」
「キスですよね?」
「キスだよね、魚のやつ」
「「通じてねーのかよ!!」」
諸星さんたちは突っ込んだ。
「それ以外に何かあるんですか?」
「食べ物じゃねーんだよ」
食べ物じゃなかったら何があるんだ?
「陽は恋人いるか?」
突然何!?
話し変わりすぎだ!
「いません」
「「そうなのか!?」」
『そうなのか!?』
何、そこでスタッフ全員反応するわけ?
しかも、女性のお客様までも…。
「そうだったんだ~。陽君にはてっきりいるかと思ったよ」
「いないですよ…」
悲しみやらどーんと沈んだような含みを込めた声色で言ってしまった。
ホント悲しいくらい…何故か泣きたくなってきた。
陟さんのパシリやら、樹希の世話やらで恋なんかする暇もなかった。
生きてるだけで精一杯だった…。
それは今も変わらなくて、本当に恋なんかしてる暇なんかない。
多分、知砂に言われた通りだが、
俺自身も思ってるわけだがこの先後10年くらいは恋人は出来ないだろう。
「あ、なんか、おれ悪いこと言っちゃった?ごめんね」
俺の目の前で手を合わせて謝る文東さん。
「あ、いえ…」
愛想笑いしか出来なかった俺に
「ホントごめん!帰りなんか奢るよ」
マジで!?
と現金な俺だ。
「ありがとうございます」
「うん、じゃあ、なんか考えておいて」
「はい」
「いいな~陽!古坂先輩俺らにも奢って下さいよ?」
「だめー」
「っちぇ、じゃあ、古坂先輩には彼女いるんですか?」


