さあ、俺と秘密をはじめよう




いずれは大人になるのだろう。

早く大人になりたいと思ってしまう俺がいて

それと同時にまだ子供でいたいという俺もいる。


曖昧で歪で不安定だ。

知らないことなんて沢山ある。

社会人でもないから社会と言う世界なんて分かってないくらい世界を知らない。


大人にも子供にもなれない年頃なのかもしれない。


「ですね…」

「それにおれ国語苦手なんだよねー」

顔を掻き、あははと笑う文東さんはなんだか幼く見えて、

男としては失礼かもだけど可愛くも見えた。

年上なのに年上を感じさせない先輩って感じだ。


そして、また共感を持てた。

「まじですか!?」

うん、と頷く文東さん。

「実は俺もです」

「おっ!なっつかまー」

俺の両手を掴みぶんぶんと上下に振る文東さん。


「国語が一番苦手なんですよ…。日本人なのに…」

「あはは。おれも。日本人なのにねー。論文の時とかいっつも苦労するよ…」

あははと苦笑いするしかなかった俺。

大学生ではなく、俺は高校生だから大学のこととか知るはずもなかった。

そして、少しだけ胸が痛んだ。


これは罪悪感というものだろう。

俺は文東さんに嘘をついている。


こんなにも親しく話してくれている文東さんに対して失礼なんだろうな…。

俺は文東さんや皆に沢山の嘘をついてきている。

罪悪感を感じる俺は偽善者なのだろうか?

そんなことを考えてる今、文東さんには俺がどう映っているのだろう?


「ん?陽君、どうしたの?」

俺の異変に気付いたのか文東さんは心配そうに声をかける。

「いいえ、大丈夫です」

うそつきな笑顔をし、何でもなかったかのようにする。

そっか、と文東さんは笑う。


文東さんの笑顔がとても眩しすぎて、俺は少し泣きたくなってきた。

太陽みたいな笑顔が俺も出来たらなと憧れてしまう。

俺にとってあこがれの存在だ。