『――――――♪
もう あなたから 愛されることも
存在として 必要とされることも
ない こうして私は1人ぼっちで
君は いつも私を泣かせるんだ
だけど 君はいつも「ごめんね」って
笑うんだ その顔が好きで――
分かっていたことなんだ だけどね――
Aa--Oh--離さないで ぎゅっと
そう思いっきり 君の腕の中に
いたい 二人で抱きしめながら
眠りたい―――
君は いつも私を喜ばせるんだ
だけど 君は後になって「冗談だよ」って
泣きそうな顔で――その顔好きだったんだ
Aa---Oh---
離さないで ぎゅっと
そう思いっきり強く 君の腕で
ずっと――― いたい
二人で抱きしめながら
――眠れるから ―――♪』
歌い終わる・・・辺りはしーんと静寂する。
まるで外も同じくらいにそうなったかのように思わせる。
大野さんははっと聞いたのか慌てて司会を進行する。
監督やスタッフも大野さんに続いて合図を送る。
『・・・・・・えっと、あ、ありがとうございました!!とても美しくなんとも言えぬ歌声でした!』
『歌声だけですか!?』
と冗談めいたことを私は言う。
『え!?あ、もちろんご本人もお美しいです!可愛いです!』
一瞬固まるが瞬間的にはっとする私はそんなつもりで聞いたわけではないことは皆百も承知だ。
大野さんはいつも冷静かつトークも上手でプロの方だ。こんなところでボケをかます人ではない。
だけどプロの人でもこんな感じになる時もあるのだろうかと少し安心し、私は思わず笑ってしまった。
大野さんや監督・スタッフ全員呆けた顔をする。
『ふ・・・ふふ。あはは。・・・す、すみません。そんな返答が来るとは思わなかったので・・・』
『あ、本気です!』
大野さんの言葉に周りやスタッフ・監督たちも大笑いする。
会話が微妙に成り立ってないけど・・・予想外のアクシデントってことでこれはこれでいいのかもしれない。
『ありがとうございます』
笑いを含めた感じで穏やかに礼を言う。
『もちろん!歌詞もすっごく良かったです!』
大野さんは気を取り直したのか進行を元に戻す。


