『はい。ありがとうございます!続いて――皆さんの多数の要望の中から一番多かったこの曲!星で【lover for You】です!しかも、今回はゲストとして!ご本人がここにお越しくださいました~生で歌っていただきましょう!』
ラジオの進行者である大野 憲治(オオノ ケンジ)は今、リスナーから絶大の人気を誇るラジオの司会進行タレント。
声優としても何度か一緒に仕事をしたことがある。
このラジオ―――スター☆ライトラジオ・・・略してスタラジはFM TKYからの火曜から金曜、
21時から24時までの3時間、ゲストたちや声優たち、アニメや音楽をメインに様々な企画を発信する人気番組だ。
そして、この度――声優兼ゲストとして呼ばれた私こと『星』である。
スタッフがタイミングを合わせて合図を送る。
少し深呼吸して私は中性的な声で喋り出す。
『はい!星です。今回は呼んでくださってありがとうございます!』
『いえいえ、来てくださってありがとうざいます。突然ですが、星さん今から生で歌ってもらうんですが、お気持ちの方はどうでしょうか?』
『正直、言うとかなり!緊張しています』
『えー、星さんでもですか!?』
『"でも"って何ですか!?でもって・・・』
苦笑いする私。
私は歌でも仕事でも大概の仕事は緊張してしまう。いくら顔だししてないからと言ってもだ。
失敗してはいけないというプレッシャーがあるのだ。
まあ、それを顔に出していないだけの話だけど…。
『いや~星さんの場合―――っと、ここで指示がありましたので、トークは星さんが歌い終わった後でじーーーっくりと攻めていきましょう!では、星で
【lover for You】
どうぞ!』
攻めていくって・・・。
ま、いっかと思いながら、曲のメロディーが流れる。
私は静かに歌い出す――。
まるでこの瞬間、この時は自分の領域なのだと相手に思いさせるかのように―――。


