俺はピアノを前にし、椅子に座る。
軽く深呼吸をし、弾き始める。
「これ、何の曲?」
「これはあの子が作った曲だよ」
そう、俺はショパンとかベートーベンとかバッハとかお堅いような奴は弾かない。というよりも弾きたくない。
好きなように弾き、好きなように奏でる。
完璧にオリジナル。自分で曲を作るのが好きだから。
それを皆に聞いてもらうだけ。
「いい曲ね」
「ああ、本当にいい曲だ」
「リラックスできるわ」
「癒されるなー」
俺は弾き終えて、
お辞儀をした。
どうやら、好評でだったみたいで良かった。
今回のは結構自信があったし、我ながらいい曲を作れたと思う。
「陽、お疲れさん」
「ありがとうっす」
陟さんが俺の肩をポンポンと叩いた。
彼なりの労りだろう。たぶん。のはず?


