『今、緊急事態Aの状況なんだ』
また小さく頷いた星名。
『それでこの場合は黙って動かず物音も立てず聞いておくべし!』
頷く星名はたぶん緊急事態AとかBとかCとか言われても分からないだろう。
だが、この場合は皆に合わせておくべきだと察したのだ。
俺たち音楽科では結構ルールというか独特の掟が黙認してある。
先生たちには一切知らないことがある。
、
水野 瞬夜先生には逆らうな!
そして、この先生の授業だけは絶対にサボってはいけない。必ず出て単位を落としてはいけない。
病気以外では途中退席もしてはいけない。
これは全校生徒に決められた暗黙の掟だ。
理由は未だ不明だが、逆らったら死ぬよりも辛い生き地獄を永遠に味わうらしい。
そして、都市伝説がこの先生にはある。
毎年、現代国語・古文・漢文の授業が当ったクラスは幸運が来るとか1年は安泰とか告白が成功するとか
恋が叶う等々さまざまな言い伝えがある。
もはや国語ではないとツッコミたい伝説だ。いや七不思議にとでも言っておきたい。
ま、本当かどうかは定かではないが色んな意味ですごい先生だということが分かった。
そして、我がクラスでの緊急事態Aは瞬夜先生または人の命にかかわることを指す。


