「あはは、いやですねー物騒なことだなんて。単なるいたいけな子供の冗談にしかすぎませんよー」
どこがいたいけな子供なんだと目を疑いたくなる。
「いたいけな子供ね…どの口が言うんだ?」
ただひたすら、のんきににこりと笑っている了に呆れかえる瞬夜先生。
どうやらこの勝者は腹黒さで決まったみたいだ。
「良かったな星名。これで3時限目はここにいられるぞ」
「おい、黒崎。それはまだ許可したわけじゃねーぞ。それにそいつだって困ってんだろ?授業がもう始まってるが出なきゃならんだろうし」
星名にも授業があったんだ、忘れてた。
瞬夜先生に言われて、星名はどんどん顔色が悪くなっていく。
「そ、そうですね……も、戻ります…」
「お、おい!お前、顔色が悪いぞ」
瞬夜先生は星名に近づき星名の額に手を当てる。
「熱はないようだが…」
心配する顔はやはり教師の顔と言ったところだろうか。
普段は暴君で唯我独尊だが、人一倍生徒思いで優しいところがあるのを俺たちは知っている。
「瞬夜先生、星名顔色わりーみたいだし、このままここに置いてやってくれ!」
「犬みたいに軽々しく置いてくれってな…仮にもその子人間だぞ…」
頭を抱え込む瞬夜先生。
「3時限目だけでもいいんだよ!どうせ自習なんだし」
「いや、黒崎そう言ってもな…確かに今は自習だが他のクラスは自習ってわけじゃねーだろ。それに仮にも俺は教師だ!俺の面子ってものがある」
結局、自分の面子かよ!と総出で心の中で突っ込んでしまったことに違いないだろう。
付け足したようにそこ重要なと言った。
「あの…何で自習なんですか?今更何ですが」
遠慮がちに俺の隣で星名が聞いてきた。
確かに今更のことなんだが…何で自習かと言うと―――。


