さあ、俺と秘密をはじめよう




その問いに彼はこうもあっさりと答えたのだ。

「友達だから」


ただそれだけの関係でこんなにも優しくしてくれるのか。


友達・・・ただその言葉だけでも嬉しかったのに・・・こうも心に浸透してくるものなのかな。


また涙があふれてきそうだ。


(泣き顔を黒崎君に見られたくない)

私はまた下を俯けようとしたがふっと黒崎君は私を抱きしめた。

私は驚いて、黒崎君を引き離そうと押した。


「く、黒崎君!?」

押しのけようとしたけど余計に抱きしめる力が強まった。

「いいから。泣き顔見られたくないんだろ?」

小さく頷いた。

「これだったら見られないだろ?」

「ありがとう・・・」

「ん」

力強く抱きしめられる。

(男の人って力強いんだ・・・)


黒崎君が男だと改めて実感したと同時に私は顔を真っ赤にした。


だけど、抱きしめてるから黒崎君にはその顔を見られてなくて良かった。

それと同時にこんなにも人の体温が温かいんだと感じた。



黒崎君からシャンプーの香りが香っていた。

今時男の人でも香水をつけている時代なのに黒崎君からは全然香水の香りがしない。

嫌ではなかったし、むしろ香水臭くなくていいとすら思える。


安心する・・・この人といるとすごくいい心地だ。