知砂に聞いてみたら「陽には関係ない」と跳ね返された。
流石にちょっとショックだった。親友なのに隠し事をされたみたいだ。
いや、されてるんだけどな。
落ち込む俺に了が諭してくれた。
「陽君、知砂さんは今とても機嫌が悪いんです。それを分かってあげて下さい」
「あ、うん」
知砂の機嫌が悪い原因は尚弥だろう。
「多分・・・半分は違うと思いますよー」
思考を読み取ったのか了は曖昧に答える。
頭に?が浮かぶ。
俺はいったん頭の整理をする。
2限目の休憩時間から知砂の様子が変になり始めた。そして、次には昌太。尚弥と了は変わらずか。
一体何が原因なんだ。
頭を抱えて悩みこんでる俺に窓から風と一緒に歌声が流れてきた。
空から天使の歌声が舞い降りた。
(星名の歌声だ!)
アカペラだったけどとても綺麗で言葉で表すなら・・・もので表すなら・・・
そう―――。
まるで万華鏡のように複雑で繊細な輝きを放っている。
歌だけなのにイメージがこんなにも湧き出てくる。
けど、この歌はどこか孤独で淋しいと感じてしまった。
痛い・・・とすら共感した。
曲がないせいなのか?
いや違うこの歌声は星名の歌声で、
星名が今感じて思っていることを歌に現しているのだ。
俺は窓から身を乗り出し、屋上の方向を見た。
「陽!?」
「どうしたんですか!?急に窓から身を乗り出して危ないですよー!!」


