さあ、俺と秘密をはじめよう




2時限目は英語の授業で始まってものの5分で退屈になった。


あくびを噛み締め廊下を見る。


その視線に昌太は気付く。

「ちゃんと前を向いておけよ。眠たいかも知れんが」

と先生に聞かれない声で忠告する。


「ああ・・・」

苦笑する。

俺は前を向こうとした時、一瞬だったけど星名が疾走しているところを見た。


(星名・・・!?)

見間違えたのか?と再度。廊下を見たけど、彼女はいなかった。

気のせいかと思い、前を向く。


(一瞬だったけど・・・星名苦痛の顔して泣きそうだったような・・・)


星名の顔が目に焼きつく、あの顔が頭から離れない。嫌な予感がする。


その予感が当たらなければいいのだが・・・。


「・・・きら。・・・おい、陽」

ゴンっ(何かで殴られる音)

突然、頭に衝撃がきた。

「いっ・・・」

昌太が教科書で俺の脳天にめがけて殴った。

しかも、角で。


(さすがに角は痛い・・・)

軽く涙目になる。俺は昌太に近づいて。


「痛い・・・何すんだよ」

「さっきから当てらってぞ。それに気付かず妄想しているお前を起こしてやったんだよ」

「それでも角はないだろ。」

「気付かない、お前が悪い」

「ゴンって音がしたぞ。昌太、せめて言葉で起こしてくれ」

「やったけど、お前が気付かなかったから最終的にそうしたまでだ」

「そうか・・・悪いな。で、俺、どこ当てられてんの?」


授業中でありながらも淡々と小声で会話する俺と昌太に先生はその会話が聞こえたのか、咳払いし、問題を丁寧に教えた。

「35Pの問9です。前に出て解き方と答えを書きなさい」

「は、はい・・・」

「まったく・・・君たちは仲がいいのはいいことなんですけどね・・・そ、その・・・もうちょっとオブラートに謹みなさい」

「「へ?」」

先生の言っている意味が俺たちには分からなかった。


昌太の後ろの席が尚弥なため、昌太は何のことだ?と尚弥に聞き、尚弥は昌太に小声で昌太の耳元で語りかける。

俺はその会話がまったく聞こえていなかった。