森さんたちの髪は茶色や金に染め上げられ、耳にはピアスを。しかもそれは1カ所じゃない。数か所あけられている。

それに比べて、私はというと…確かに耳にピアスをしているがそれは仕事の時だけで今はしていない。髪も黒だ。染めたことなんか一度も…ううん、実際私は黒に染めてる。

地毛は赤色に近い赤茶色。


中学の時も地味に過ごしていたが、この地毛のせいで何回も生徒指導室にお世話になった。散々な思い出だった。


以来徹底して地味に仕立てたつもりだ。

完璧なる地味さのどこに校則違反があるのか彼女らの目を疑いたくなる。


「それはいかんねぇ~」

先生は見下したようにわざとらしく言う。

「どこが校則違反なんですか?」

「あんた気づいてないの?」

わけがわからない。


「答えはだな…」

先生が私のところにきて急に髪を引っ張ってきた。

「髪だよ!」

「いっ…痛いっ…」

頭皮に痛みという刺激が走る。


「星名さ~ん、髪はちゃんとまとめなきゃいっけないよ~」

「痛っ…」

どこからか消しゴムが飛んできて、私の額に当たった。


(髪をまとめてなきゃいけない…?)

髪をまとめていたはず…。

あ…ああ、あの時だ。

あの時にとられたんだ。黒崎君に…。


「校則違反したものには罰を与えなきゃねえ~」

ニヤニヤした顔で先生は私の髪をさらに強く引っ張る。

「痛っ…!!」


(罰って何…?)



たかが、髪をまとめなかっただけで罰なんて…。

何で私だけなのだろうか。

髪をまとめていない人なんて他にもいる。

なのに…これは不条理というものではないのか。