彼は、私の目を見つめて不機嫌そうに微笑むんだ。 「待ってるよ。斎藤 葵さん」 うそっ!? 「……なっ……なんで? わかったの?」 誰かに聞いたの? だとすると、デートの話も本当にするつもりがあるの? グラッと飛行機が傾く 自分も席についてベルトしないと危ない。 「絶対に来いよ」 百年の恨みをはらす為のような睨みだ。 「は……はい」 私はクルリとターンして乗務員用の座席に座ると、慌ててベルトを締めた。 頭の中はクエスチョンマークでいっぱいの中、飛行機はパリへ――……