「いえ……あの……ただの世間話です」


「そう、これからきっと色んなお客様に話かけられるわよ。現地の話を聞かれたり、突然かわいい孫の話を聞かされたり、飛行機が恐いから話をしてくれと頼まれたりとか……とにかくお客様は色んな話題を持っていて。会話をする事はとても大切な事なのよ」


先輩は面白そうに笑うと、長い足を組む。


「でも、あのお客様カッコいいわよね。私も狙ってたのに後輩に持ってかれちゃって残念だな~」


「やっ! 違います違います! 彼は確かにカッコいいですけど、全然そんなんじゃないです! なんか恨まれてるというか……」