ギャレーでコーヒーをドリップしていると 「ちょっと……こんな時間にコーヒー? カフェインレスのものがあるから、それを使いなさい」と先輩CAにも指摘された。 「お客様からのご要望でしたので……」 「もちろん、お客様のご要望にはお応えしないとね。無理に他のものをお勧めしてはダメよ?」 「はい」 熱いコーヒーをトレイにのせて、エリア外だったらよかったのになぁ…… 30のAの領域に足を踏み入れる。 ここを何度も往復しながら、私は彼の深みに嵌まっていく。