すぐ近くに三好が驚いたように目を丸めて立っていた。
「お前帰ったんじゃないの?」と三好。
「あー…まぁ一旦は帰ったんだけど。お前は?こんな遅くまで仕事?」
「残業だ。疲れたし一杯やってこうかと思うんだけど、お前も一緒にどう?」
そう誘われて、俺はちょっと考えた。
「あー、うん。飲みたい気分ではあるけど、今日泊るとこ探さなきゃだからいいや。悪いな」
俺は苦笑いを浮かべて返事を返した。
「泊るとこ?」と三好が目をまばたいて、「なるほど~彼女と喧嘩でもしたんだな?」なんて、にやにや。
ビンゴ…
ため息を吐きながら頷くと、
「今から泊るところ探すなんて大変だろ?俺んち来いよ」なんて三好が笑顔で言ってくれる。
「え?いいの??」
「ああ。ついでにビールでも買っていかないか?家で飲もうぜ。話ぐらいなら聞くよ」と三好は爽やかに笑顔を浮かべた。
三好…いいヤツ…
じーんと胸を熱くさせていると、スーツの中でケータイが鳴った。
着信:I LOVE SYU(←以前、周が勝手に登録した。以来変えていない)
ゲ
俺は顔をしかめてちょっと悩んだものの、結局ケータイの電源を切るとスーツのポケットにねじ込んだ。
「いいのか?彼女からじゃないのかよ」と三好が心配そうに見てきて、
「今は話したくない」なんて返し、俺は先を歩き出した。
バカ周
エロ周
鈍感円周率野郎!!
お前はずっと円周率を割り出してればいいんだ!!



