「あたしがあの円周率野郎を?ないないない」
刹那さんはカラカラと笑って手を振った。
そのあっけらかんとした笑顔に嘘や建前は微塵も感じられなかった。
「え…でも……」
「言ったでしょう?パートナーを探してるって。あたしヒロのことひと目見て気に入っちゃったの。一緒にあたしと行きましょうよ」
なんて、にこにこ答える刹那さん。
「いやいや、逃亡犯と一緒になんて行けませんよ」
真面目に答えると、
「あら。毎日ドキドキできるわよ♪」
違った意味でな。
「お金だってたくさん持ってるし」
汚れた金だろ。
「退屈しないわよ~」
「だから今だって退屈してませんて!」
「あら、もう到着。行きましょ♪」
なんてマイペースに俺の腕を引っ張る刹那さん。ってか俺の話聞こうよ!
こうゆうとこ、ホント周にそっくり!!
思って、ふと足を止めた。
「周と刹那さんてやっぱ似てますよね」
刹那さんも足を止めて、べったりと俺にもたれかかっていた顔をちょっと上げた。
長い睫が上下して、それに縁取られた黒い目の中に一瞬だけ光を見た。
え…、俺変なこと聞いた??
でもそれは一瞬で…
「あら。あたしと周が似てる?それは心外だわ」なんてちょっと微笑む。



