あれ?こうやって見ると普通…
いや、かなりの美人であることは確かだけど、少し謎めいたところが薄れたって言うか…
「パートナー?仕事上の?」俺は聞いてみた。
女の人はにっこり微笑むと、
「公私ともに、よ。でも目星はつけてあるの」
「……目星…?」
そこまで言って女の人は前を向いた。
「あらやだ。後方7時の方向に敵を発見。まだあなたと話したかったけれど、ここで騒ぎを起こすわけにはいかないから一旦引き上げるわ。またね」
え………?
この喋り方って…
「ヒロ~~~!♪」
すぐに聞きなれた周の声が聞こえて、俺は慌てて振りかえった。
店の入り口で周が手を振っている。
その後ろには―――昨日の陣内巡査……??
なんか…めちゃくちゃ俺を睨んでる…?ように見えるんですけど…
だけどそんな陣内巡査の険悪な視線にも気付かない周はにこやかに、
「ヒロ、待たせたな」と言って近寄ってきた。
周の香りを近くで感じて、ドキドキ…と言うよりもすごく安心できた。
あの女の人が纏う香りはいい香りだけど、どこか危険を孕んでいる。
「…いや。大丈夫…」言いかけて、俺は隣の椅子に目を向けた。
女の人は―――
またも姿を消していた。



