- π PI Ⅱ -【BL】



「えっと…それはどうゆう意味で…」


俺はおずおずと聞くと同時だった。紅茶が運ばれてきて、女の人はウェイターに優雅に礼を述べ、そしてタバコを取り出した。


周と同じ銘柄のパッケージだった。


「このタバコも、偶然じゃない」


女の人はくすっと微笑んで、おもむろに俺の胸元に手を伸ばしてきた。


びっくりして思わず身を後退させると、


女の人はすぐに手を離して、親指と人差し指で何かをつまんでいた。


綺麗な指だった。真っ赤なマニキュアが良く映える白くて細い指。


「ゴミ。ついてたわよ」


「…ど、どうも……」


ぎこちなく答えると女の人は苦笑しながらタバコに火を点けた。


「そんなに警戒しないで。妖しい者じゃないわ」


いえ…充分妖しいですけど…


でも


気味悪いとかそんなんじゃなくて、なんて言うの?やっぱりミステリアス……


「…こ、この近くに住んでるんですか?」


俺は思い切って話し掛けてみた。


女の人は色っぽい唇から煙を吐き出しながら、


「いいえ。国内外を点々としているの」


へぇ。海外を飛び回るキャリアウーマンって言うもんか。


俺には一生縁のない女性だ。


「今新しいパートナーを探し中で」なんて女の人はほぅっと少女のようなため息を吐いた。