「えっと…それはどうゆう意味で…」
俺はおずおずと聞くと同時だった。紅茶が運ばれてきて、女の人はウェイターに優雅に礼を述べ、そしてタバコを取り出した。
周と同じ銘柄のパッケージだった。
「このタバコも、偶然じゃない」
女の人はくすっと微笑んで、おもむろに俺の胸元に手を伸ばしてきた。
びっくりして思わず身を後退させると、
女の人はすぐに手を離して、親指と人差し指で何かをつまんでいた。
綺麗な指だった。真っ赤なマニキュアが良く映える白くて細い指。
「ゴミ。ついてたわよ」
「…ど、どうも……」
ぎこちなく答えると女の人は苦笑しながらタバコに火を点けた。
「そんなに警戒しないで。妖しい者じゃないわ」
いえ…充分妖しいですけど…
でも
気味悪いとかそんなんじゃなくて、なんて言うの?やっぱりミステリアス……
「…こ、この近くに住んでるんですか?」
俺は思い切って話し掛けてみた。
女の人は色っぽい唇から煙を吐き出しながら、
「いいえ。国内外を点々としているの」
へぇ。海外を飛び回るキャリアウーマンって言うもんか。
俺には一生縁のない女性だ。
「今新しいパートナーを探し中で」なんて女の人はほぅっと少女のようなため息を吐いた。



