周のマンションに帰る前に、二人で夕飯の材料を買いにスーパーで買い物をして、こいつの部屋についたのは19時半を少し過ぎたところだった。
片方の手にスーパーのビニール袋を提げて、片方の手を俺の手に絡ませてくる周。
「新婚らしく手を繋いでラブラブで帰ろうぜ~」
「やめろ。外だ」なんて鬱陶しがって逃れる俺の手を周は握ってこようとする。
「日もすっかり暮れた。暗くて分かりゃしないって♪」なんて周はマイペース。
そりゃそうだけど…
って言うか俺だって今まで付き合ってきた子たちとは手は繋ぐ派だったし、案外セックスよりもこうゆう小さな温もりが好きだったりするし。
なんてぶつぶつ考えていると、
周が突如足を止めた。
その先にはもう周のマンションが目の前だ。
「む。いかん!前方2時の方向に敵を発見。回避だ、ヒロ!」
俺の手首を強引に掴んで周は回れ右をした。
は!?敵!!敵って何だよ!!
って突っ込む方が間違っている。
こいつは色んな意味で敵が多そうだ。
「ちょ…待てよ!周……」
言いかけたところで、
「橘警視!」
と男の弾んだ声が聞こえ、周はぎくりと止まった。



