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俺の空になったグラスにワインを注ぎいれてくれて、ヒロが口を開く。


「俺、ワンナイトラブって言葉通りその夜限りの関係だと思ってたし?そこから恋愛に発展するなんて思ってもみなかった。


しかも相手男だし!しかもその相手と結婚なんかもしちゃったし!」


とヒロが両手で頬を包む。


「俺はそうでもないぞ?何せお前を一目見たときから、一目ぼれだったんだからな。


運命の相手♪だったわけだ」


ご機嫌に言ってグラスを傾けると、ヒロがちょっと唇を尖らせた。


「周って顔に似合わず時々すっげぇロマンチックだよな」


「何だよ、時々って。しかも顔に似合わずだと?」


今夜はお仕置き決定だな。


半目でちらりとヒロを睨むと、ヒロは顔に苦笑いを浮かべていた。


「稀だよなぁ。男同士の恋愛の末、結婚ってのもそうだけど。体の関係でここまで発展したってのも」






ワンナイトが永遠の夜になったわけだ。






ヒロはどこか楽しそうにそう言い置いて、俺の顔に自分の顔を寄せてきた。


驚いて目を丸めると、ヒロは自分からキスをしてきた。


口の中にワインの味が広がり、でもそれが自分の飲んでいたワインを微妙に味が違った。


ヒロの唾液と混じったワインの味は、少し甘くて口腔内を爽やかに満たす。